戦争:1941 【プレミアム・ベスト・コレクション\1800】 [DVD]−ユルコロ情報

スピルバーグ監督のなぜだか売れなかった作品

　私、個人的には面白い映画だと思うのだが何故だか売れなかった作品。
スピルバーグ監督のコメディは受け入れられないのか?
登場人物が多く場面の切り替えも多く疲れる。
しかし内容がじつに面白い
戦争中をコメディにしてしまうのがブラックユーモア
ダンスあり戦闘ありジョンの戦闘機パイロットには笑える。三船艦長ひきいる潜水艦乗組員の馬鹿さかげんには大笑い潜望鏡のシーンで『ハリウッド!!』に大爆笑です。
特撮もさすがスピルバーグ監督

メーカー：UPJ/ジェネオン エンタテインメント

凄まじいＪ．ベルーシの「演技」

　映画監督としてのスピルバーグは巨匠、と呼んで良いか、は別として商売上手であった、ことは事実である。パニック映画が流行れば「ジョーズ」を、ＳＦブームになれば「未知との遭遇」を、と、それぞれ内容はともかくブームを逸らさず、しかもクオリティの高い作品を作り出す能力は、作品は決して好きでない私でも認めざるを得ない。この作品もコッポラの「地獄の黙示録」が公開前から空前のブームだったのを逃さず、「さあ次は戦争映画だ」と、金と時間を充分にかけて作った「スピルバーグ風戦争コメディ」である。出来上がった作品はコッポラのものより完成度、という点では数段高いことは認めるが、ただセンスとして戦争をギャグにして笑いを取るのはどうか、まして日本人が馬鹿にされているのを当の日本人として称賛する、訳には到底出来ない作品に仕上がっている。
冒頭からジョーズ、のパロディが出てくるが、自作のセルフ・パロディを単純に笑えるか、でこの作品世界に没頭できるか、が観る方に問われる。スター・ウオーズのオファーを蹴ってまで出演した三船もまさかこんなお馬鹿映画に出演する、とは思ってもいなかっただろうし(これと「仁川」出演で晩節を穢した)、パールハーバーを転じてお笑いに使用した、センスの悪さはハリウッド的物量主義で「モノとカネ掛けりゃ成功に繋がる」という、間違った方法論が内容の空虚さを浮き彫りにしている(ベトナム戦争の失敗が全然経験に生かされていない、のを暴露している)。バカな日本人を笑いものにする、のは自由だが、もっとバカなのは自分が馬鹿にされて喜んでいた往時の日本の映画関係者だ。これがコケて唯一の汚点、となったスピルバーグも以降自身の喜劇的センスの無さを自覚して真面目な作品ばかり撮るようになったのもさすが商売人、である。
おバカな登場人物の中でバカを通り越して異彩を放つのはジョン・ベルーシであり、「この人本当に狂ってるのではないか」と、思わせるほど迫真の、狂気の演技は特筆ものであり、スター・ウオーズのパロディはご愛嬌としてもさすがだ、と思わせることしきりで、「スゴい演技力だ」と、感心した、ものだが、後にベルーシがオーバードーズで死んだ、ことを聞いて納得したのである：あれは演技ではなかった、マジだったのだ、と。

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