光の教会―安藤忠雄の現場 |
???本書はこのユニークな教会堂がどのようにして構想され、設計、施工されたかを丹念にたどったノンフィクションだ。大学院で建築構造学を学び、構造設計事務所で実務を経験した著者の筆により、読者は建築の現場で何が行われているのかを実感することができる。コンクリートの軟らかさが少し違うだけで、どれだけ工程に影響するのか。なぜ建築家はその違いにこだわるのかといったことが、誰にもわかりやすく語られる。また、安藤のラフなアイデアがスタッフの手によって設計図にまとめられ、それを施工業者が工事現場で実際につくっていく過程が臨場感たっぷりに描かれる。 ???とはいえ、本書が建築の技術面に偏っているかといえばそうではない。1つの建物ができあがるまでには、何人もの人々がさまざまな立場からかかわるのであり、そこには人間くさいドラマが生まれる。安藤と彼のスタッフ、牧師と主だった教会員からなる建築委員会、そして施工業者が互いにどのような会話を交わし、何を考えていたかについての著述も十分な量を与えられている。ストレートにものを言い、次々に大胆なアイデアを発想する安藤という魅力的な人物なしにこの本は考えられないが、周囲の人物もそれぞれ重要な役割を演じている。第32回大宅壮一ノンフィクション賞受賞作。(松本泰樹) 【光の教会―安藤忠雄の現場の商品情報】 メーカー:建築資料研究社
eanコード:9784874606964ジャンル:book 製品種別:単行本(ソフトカバー) 状態:New 売値:¥ 1,995 中古価格:¥ 851 発送状況:通常24時間以内に発送 Amazonを見る Amazonは1500円以上で送料無料!! |
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光の教会―安藤忠雄の現場の商品紹介&感想
ページ数は400と分厚い本だが、この読みやすさ、ハンパない。建築の知識がなくてもすいすい読める。 一つの建物を建てるのにどれだけ大勢の人が関わるのか、という事に改めて気付かされる。 ストーリーがおもしろく、専門書というよりは読み物に近い。それでいて所々に専門知識が盛り込まれているので勉強にもなる。 建築好きは絶対読むべき。建築を知らない人にもおすすめ。こういう世界がある、という事を知ってほしい。
安藤忠雄は,大学系の人でないのに,東京大学の担当教授になったり 最近では東京オリンピックのマスターアーキテクチャを担当したり なにかと話題の人になりつつあります. 安藤忠雄が書いた,建築に夢を見たなどの本は建築に興味が無いと 読むのは厳しいですが,こちらはそんな基礎知識が無くても 読みやすいのでお勧めです.
製造業に関わる人には是非読んで頂きたいと思います。「予算や工期などの制約のなかで、どうやって魂を具現化するか」、という問題は、製造業一般に関連し、日本人が今一度考え直さないといけない問題のような気がします。 いささか個人的なことで恐縮なのですが、この教会を知ったのは、大学の先輩のお子さんが亡くなったときです。普段キリスト教とはなんら関係のない生活をしていて、教会にも普段行くことがない私は、正直、「いったいなんっちゅう建物や」と思いました。そのシンプルで整理された空間と、小さな棺を今でも忘れることができません。この教会の建物がどのようにしてできあがっていったかを知ることができ、その意味でも非常に興味深かったです。
著者と安藤 安藤と教会、教会と人々、安藤と職人たち・・・ 資金を上回る建築予算の問題を抱えながら、教会を建て直すプロセスと その中で交わされる人々のやりとり・感情がリアルに感じられます。 読み進んでいくうち、現場にいるような気分になり、喜怒哀楽も共にしまう程でした。 建築用語は必然的にでてくるので、建築を学ぶ私には都合よく知識も取り入れる事ができました。 私は、この"光の教会"へ訪ねた後にこの本に出会いました。
設計も施工も大赤字を覚悟で引き受けた小さな教会。 「光の教会」として名高い「茨木春日丘教会」である。 建築は四角い単純な箱だ。 その箱に15°の角度で貫入する独立壁と、壁に穿たれたスリットとして表現された十字架、これがいわばこの建築の全てである。 簡単に見えるかも知れないが、とてつもなく困難な形である。 斜めの独立壁は、屋根スラブかとわずかにスキマが空いている。 壁のスリットは更に難しい。 特にスリットの上側の壁は大変な構造である。 「これ、もつんかいな」 という施工者の述懐は至極当然だろう。 事実、この小さな建築の施工は困難を極めた。 安藤のやり方に抵抗を覚える人も多いだろう。
教会建築に携わった人々の織りなす状況はまるでドラマのようで小説を読んでいるようだ。 光の教会や他の安藤忠雄の建築物を見に行った事がある、又は行く予定がある人に是非読んでもらいたい1冊だ。 「都会の中でも切り取られた空は自分だけの空や」 Tadao Ando 実際に行って見ると、普通の住宅街の中にあって教会の敷地だけは別世界だった。
安藤忠雄に依頼されたのは坪50万円で60坪,合計3,000万円の教会である。渋る安藤がこの設計を受けたのは教会の人々との話の中で,彼らを自分の同士と見込んだからであろ〜〜う。 建築家安藤忠雄はやはり「閃き」の人のようである。施主である牧師が葬式の真っ最中に提案されたのが「光の教会」であった。ラフスケッチが現実の建物になっていく様子は読んでいて楽しい。構造設計の難しさや職人が逃げてしまう話。また施工上に出てくるコンクリート打放しに必ずある丸い穴の精度の話やコンクリートの角を出す試行錯誤など次から次へ〜〜と課題が出てくる。 ほんと,これを施工した業者さんはまるっきりの赤字だと思う。でも赤字でも仕事をしてしまう,あるいはさせられてしまうのは多分建築家安藤忠雄の人間的魅力なのだろう。〜
また、本の中にあった安藤さんのいくつもの言葉に、共感・感動・教えがあり、人生の岐路に立っている私にはものすごく参考になった本でした。
この本を読めば、次の3つのことが少なくともわかる。 1 光の教会がどんな建物であるか。 2 安藤忠雄という建築家が、どのような人物であるか。 3 ひとつの建築物が完成するまでには技術的にどんな段階を踏まなければならないか。 これらのいろいろな要素をうまく束ねて、さらにちょっと笑ってしまうようなエピソードを入れつつ、最後まで一気に読ませてくれる。これは、建築の専門家である著者の筆力と、天才と評される安藤忠雄のキャラクター、さらに教会の建築に関わった登場人物の人情とが相まってのものだろう。 光の教会は、信者以外にも開かれた教会にするという目的のもと、一般の人にも公開をしている。建築や安藤忠雄に興味のある方は、この教会を見に行かれてはいかがだろう。そして、見学の前にはこの本を読まれることをぜひオススメする(本に出てくる牧師さん本人にも会うこともできるかもしれません)。知識なしで見に行くよりも何倍も深く、光の教会を味わうことができるだろう。
建築と直接触れる機会はあくまで、建築物を見るとき。 あまり、作っている最中を目にする機会はほとんどありません。 安藤さんの建築とは、その計算し尽くされたモノの配置、 僕たちが目にしているものは、その安藤忠雄さんという人の建築の もともと、建築が好きで、 彼らと同じ道を見てきました。 追求するものは、金ばかり。 そんな、経済の摩天楼の中で、 彼らは、小さいながら力強い光を放っていました。 それを支えてきた人間関係がこの本には描かれてます。 利害関係だけではなく、作る人それぞれの信頼関係。 光の教会のように、暗くなりかけていた将来の夢に
建築とは縁もゆかりもない僕ですが、この本に出会ってはじめてもしかして「モノづくり」って、ものすごく面白いエキサイティングなことなんじゃないだろうか?と、衝撃を受けました。 「モノをつくる」ということの素晴らしさが、死ぬほど凝縮されている本です。体験記で小説のようにスラスラ読め、わかりすいですしね。
それだけでなく、安藤建築を支えているさまざまな人の姿、葛藤、それぞれの作品がつくりあげられていく(これは安藤氏やスタッフだけでなく、クライアント、また、実際に手がける工務店などとのまさに協働作業)が伝わってくるものです。
今まで何気なく見ていたコンクリートの建築物についても理解が少しだけ深まりました。
建築学の門外漢すると、建築工程に関する記述は非常に辛かった。 専門用語が散りばめられ、ときたまあるその用語の解説もまた 難解…。理解してもらおうと図が随所に盛り込まれるが、命で あるはずのキャプションがやや不親切。この点については、 著者がもともと建築雑誌に携わっていただけに、配慮に欠けた 感がある。 しかし、である。やっぱり、広く一般に読まれるべき本だ! もちろん本書の「中心」には安藤が来るのだけれど、本書に おいてその「中心」は、むやみやたらに崇められていない (つまり純粋なヨイショ本ではない)。 安藤の駄々っ子ぶりやこだわりの深さ、そしてそれに翻弄される スタッフや工務店の面々(光の教会の施主でさえも!)。それらの 息づかいが、見事に描写されている。 世はバブル期。湯水のように建築費が嵩んだ建築が多いのに、 安藤と工務店は、赤字までしょい込んで、光の教会づくりに邁進。 個人的には、安藤の「注文」にも、お金が出せない施主にも泣かされ、 金銭の面で一番わりを喰った工務店の面々には頭が下がった。そして、 経済の合理性からいえば割にあわないのに、建築への誇りと品質を 死守する現場の「モノづくり」のスピリットには、正直、ドキドキ してしまった。 建築にたずさわる者たちの顔が、「これでもか」とまでよく見える 好著です、これ。
その点、安藤忠雄は正しい考えを、まっとうに主張してくる人であることが分かる。教会建築の肝要な点は、欧州での修道院、教会建築から学んだことを、実現することで、そのために全力をかけて施主を説得している。面白いことに、使っているうちに、安藤忠雄の建物はどうしようもないと思っていた人々が、けっこうよいものだと思い始めるのも、彼の正しさを証明している。しかし、冬でも暖房なし、雨風雪が入ってきてもよい(実際にはガラス窓をはめたが)という思想は、教会という建物の原点を追求していて、それを現在の日本で主張できる人というのは、すごいことだ。世界の安藤になれたのは、その姿勢であろう。 しかし、自己主張と同じくらい、施主や工務店への思いやりにあふれている人でもあることも分かった。植栽などを建物完成後に購入して寄付しているが、それで設計料がチャラになったという記述がある。(幸い、この建物で、安藤忠雄の名は更に上がったのだが) 読了後、その構造や、光の取り入れ方の図をみているうちに、ル・コルビュジエの後を継ぐのは彼かも知れないと思ってしまった。 気持ちのよい本であった。おすすめである。
余談ですが帰りの飛行機でもこの本を読み返していたところ、タイトル”光の教会”ということで、まわりのお客さん、はては客室乗務員にまで変な目で見られたような気が・・・今度お外で読むときはカバーつけようっと。
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