By Formats:グーグーだって猫である(4)−ユルコロ情報

生活は生もの。

　レビューにはさまざまな意見、感想が飛び交うものだとは承知していますが、
猫の数を減らせという意見を述べてしまう感性には
同じ読者として開いた口がふさがりません。
自分の都合のいい表現を求めるのは消費者の自由ではありますが、
あくまでこの作品は、漫画という形を採った１生活者大島弓子としてののエッセイです。
口当たりのいい完全なフィクションを望むことは具の骨頂です。

生活は生もの、動いている時間の経過で愛すべき大島弓子さんの七転八倒振りを知るだけでもありがたいと思っていますよ。特に大病を患われた後です。
命へのまなざしと、そこに芽生えた感情が表現より先にたつこともあるでしょう。
辛らつな？ありえないレビューが多いのも名作を多数上梓した漫画家ですから期待が大きいのかもしれませんね。
私はいつものように楽しみましたよ。

メーカー：角川グループパブリッシング

生きていくということ

　猫の数が増えて、大島先生が猫おばさん化しているとは思います。笑
でも、4冊を通して読んできて、大島先生が癌を患ってから命というものを考えての行動だと思うのです。
だからこそ、癌体験のことも避けずに克明に描いてきたのではないでしょうか。
人間も猫もたぬきも、同じ地球の上で懸命に生きている。
愛しい存在なのだ、という暖かい気持ちが、読んでいて伝わってきました。
私はこの作品が好きです。

うちには犬も猫もいます。
猫は室内飼いです。
交通事故が多いので室内で飼うように、獣医さんに言われました。
でも室内飼いは、いびつな感じがしています。
猫は自由を奪われて、人間の都合の良いように飼われているのです。
本当は大島先生のところのように、外に出してあげたいです。
草や花や土の匂いも嗅げずに、虫や鳥を追う楽しみもなく一生を終える室内猫の話なんて読みたくないです。
なので、この作品を読むとわくわくします。

命　みんな幸せになっていいんだ、私のささやかな力でも

　あまりにも辛いレビューが多いのではじめて投稿しようと思いました。
私はミモザ館以来ずっと大島さんのファンですが、同じくネコキチでもあります。ネコのマンガは最近たくさん出ていますが、何十回も読み返すのは大島さんの本だけです。
サバの死、そしてご自身の大病を経て　お金は「べつに自分の為に使ったっていいんだ」「好きにしよう」とある程度開き直られたのではないでしょうか。
大島さんの猫たちへの愛情は、イラク戦争の時ニュースに写った戦場の「あの少女はサバです」に通ずる、命は皆つながっている、なのではないでしょうか。
外猫達の為にリフォームされるお庭。おこげがひっそりと息をひきとった庭の猫ハウスは細長く描かれているけれど、いったいどういう構造になっているのか、など次刊で教えてほしいものです。
最後のミケマルのエピソードは何度読み返しても感動します。ノラとつきあったことのある人なら皆「うん、うん。」と頷くはず。外で一人で震えていたミケマル「今日からうちの子だね、よろしくね。」
日常のエピソードの端々から、死と直面して命を今まで以上に大切にしたいと思う大島さんの意思がひしひしと伝わってきます。
出来ることなら私もここまでやりたい！うらやましいよ、大島さん。

ほっこり、あたたかい。

　とてつもなく優しい、
底抜けに優しい、
大島弓子ワールド。

家族の猫やひょっこり遊びに来る外猫さんを、
わけへだてなく愛おしむ大島さんの、
そのひとつひとつの反応や感性すべてに共感できる。

グーグーも育ての親（大島さん）に似たのか、懐が広いし、
お散歩猫さんタマも愛らしい。
登場する猫さんみんな個性がありますね。
大往生した猫さんには涙、涙。

早くも次の巻を読むのが待ち遠しい気持ちです。
待ち遠しすぎて、☆４つ。ごめんなさい。

ファンタジー

　飼い猫の放し飼い、野良猫に去勢手術をせずにゴハンを与えるなど、きっと批判的なご意見も出るんだろうな・・・と思い、正直ちょっとハラハラしました。

我が家にも３匹の猫がおりますが怖くて外に出したことは一度もありません。
野良猫にゴハンを与えたいなと思っても責任が負えないので躊躇してしてしまいます。

大島先生のされていることは、今ではそれ自体がまるで一種のファンタジーのようです。
したくても、出来ないことです。
確かにこれを読んで疑問を持たれたり、中には不快に思われる方がいてもおかしくはないと思います。
だけどそれでもやっぱり、大島先生と猫たち（飼い猫、外猫含め）との交流には
気持が暖かくなるものがあって、何度も読み返してしまうのです。
一緒にお散歩する猫なんて夢のようだし
ノラ猫だった子猫からの爆発的な愛情表現なんて胸が締め付けられます。

これからどうなっていくのか、今後も読み続けて行きたいです。

後悔先に立たず

　ビーの家出の話しがありましたが、病気や怪我のリスクを考えたら
家猫さんはお外に出さなければいいのに…と思ってちょっと読んでいてイライラしました
これでは大島さんが食事も喉を通らず、憔悴しきっている様子に感情移入できません
探偵に11万払うなら玄関網戸でもつけたら良いのに
何かあったらどうするんでしょうね、後悔先に立たずです
外猫さんの話しは良かったです

大島先生が猫おばさんになっていく・・・

　大島先生が猫おばさんになっていく・・・

1巻から読んできましたが、ますます猫への愛情が増し、登場人物は大島さんと
猫のみ、それ以外の人と物ははまったくの脇役です。

大島さんがつむぐ猫とのつつましく、優しい日々の暮らしぶりが好きだったのですが、
この巻では、マンションから自然の多い一軒家へ引っ越し、家猫も外猫も増える一方。
かなり猫に集中して、猫おばさんと変化していっているように感じます。

イラストが、以前の繊細なペンタッチが好きだったので、（サバのしぱしぱのまつげとか）
この巻の太めの筆ペンで描いたような絵と、大島さん本人の大きな目の変化に
正直違和感を感じています。そして時々なぜか関西弁が出るのにも驚きました。
　　
こうして作品が読めるだけで幸せなのですがね。

多猫化の弊害

　今回、外猫がたくさん登場し、内猫もまた増えます。猫おばさん的活動やその方法も読者によって是非が分かれると思いますが……月1回4ページという連載企画や作風と、大島さんの状況とのミスマッチからも、作品に問題が生じているように見えます。
ひとりひとりの猫とたっぷり向き合ってこそ生まれるであろう、大島さんならではの発見や解釈などの「大島節」は、背景も様々で想像に頼りがち、共有する時間も少ない野良猫、しかも多数の野良猫を対象としたとき、ほとんど無力化しています。読んでいてもどかしく、大島作品としても猫漫画としても、底が浅くなってしまっている。
また、このページ数にこの猫密度を押し込めば、もし大島さんが背後で深い考察をしてたとしても、表れてはこないでしょう。
これはもう、作品として巧くない。

余裕ある創作表現のためにも、(蛇足ながら)静けさとテリトリーを愛する猫のためにも、少猫化を期待したい。
好転を願って、☆3つ。

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